(前半)ビジネスシーンに新たな価値を生み出す「RICOH360」に迫る

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MFP(デジタル複合機)をはじめ、ソフトウェアサービスやデジタルカメラなどを展開する株式会社リコー。2013年に360度カメラ「RICOH THETA(リコーシータ)」がリリースされて以来、360度全天球画像・映像を使った様々なサービスが展開されています。

今回は、不動産や観光など幅広い分野で高評価を得ている「RICOH360(リコーサンロクマル)」について、同社の執行役員であり、RICOH THETA及び360度事業を統括するSmart Vision事業本部の事業本部長・大谷渉(おおたに わたる)氏に取材しました。

RICOH360のサービス概要やビジョン、事業戦略などに迫ります。

RICOH THETA」を活用した「RICOH360」とは

―まずは360度の撮影が可能なRICOH THETA開発の経緯について教えてください。

大谷さん:発端は2010年ごろになります。その背景には、コンパクトデジタルカメラがスマホに変わる中、“カメラを使って新しい価値が生み出せないか”と考えたのがきっかけです。当時、空気感や雰囲気といった全体を共有する「写場(しゃば)」という言葉を使って、社内で呼んでいました。

そういったことにニーズがあるのではないかと考え、社会のニーズやカメラが持つ可能性を広げるためにも360度カメラを提案しました。

―新たにリリースしたRICOH360で提供するサービスとはどのようなものですか?

大谷さん:一回の撮影で360度の写真が撮れるRICOH THETAを活用した様々なサービスをビジネス向けに展開しています。RICOH360という枠組みの中に、お客様のWEBサイトに簡単に360度画像を埋め込めるクラウドサービスや360度バナー広告などを展開しています。

不動産では、お部屋の様子をWEBサイト上の360度の画像で、現地で内見しているかのように見られたり、旅行では、滞在するホテルの室内や観光地の名所を360度の画像でぐるっと見られます。他にも自動車の内部の紹介や、建築現場の施工管理にも活躍しています。

―RICOH THETA開発当初からビジネス向けを想定していたのでしょうか?

大谷さん:開発当初からある程度の想定はしていました。法人向けサービス展開の後押しとなったのが、不動産業界での利用を目にしたことです。不動産の営業マンがお客様に物件を紹介するのに、RICOH THETAで物件の内観写真を送っていました。

室内を1カットずつ撮影するよりも「グルっと見られるといいよね?」というニーズは考えていましたが、ユーザーが具体的な使い方を見せてくれたことが、今の展開に繋がっています。

これまでの事業とは異なる「コト」を提供するサービス

―RICOH360ブランドにサービスを統合すると聞きました

大谷さん:RICOH THETAを使ったビジネス向けのサービスをRICOH360というブランドに統合しますが、基本的に新しい価値や今までにないものを提供しようという考えが根本にあります。

これまで「THETA360.biz」や広告向けの「RICOH 360 – Ad」、RICOH THETAをポンと置いてお客様の行動を分析できる「RICOH 360 – Analysis」などを出してきました。それぞれお客様のニーズに応じる形で、360度をどのように使うかの提案をしてきています。

これからは改めてサービスをくくり、RICOH360に来てもらえば、「360をどう使えばいいか」、「何でもそろっているよ」というように仕立てたいと考えています。お客様もRICOH360に行けば、その中にサービスが揃っており、自分が使いたいものを選んでもらえる、そういう形を目指しています。

―どういった点が新しい取り組みなのでしょうか?

大谷さん:もともとリコーはメーカーで、基本的には「モノ」を扱う事業をしていました。けれどもRICOH360はプラットフォームサービス。新たに「コト」を扱う点でこれまでとは違う、ダイナミズムのある事業です。

―これまでの事業とはサービスの展開も異なると聞きました

大谷さん:採用しているのは、AdobeやSalesforceと同様に、利用者に一定の期間でサービスを提供するサブスクリプションモデル。

技術的な変化が激しい時代だからこそ、ユーザー自身がオープンかつ簡単にカスタマイズできるモデルを展開したい。その入り口としてRICOH360を推していきたいですし、それこそがデジタルトランスフォーメーションの本質でもあります。

法人に浸透しつつある360度画像

―RICOH360のこれまでの実績を教えてください。

大谷さん:去年よりも3倍くらいのユーザーが新規利用をしてくれています。業界でいうと、不動産だけでなく建築や車業界でも事例が増えています。

―実際にサービスを展開されて、反響はどうでしたか?

大谷さん:反響は非常にいいと思います。RICOH THETAもそうですが、最初は「面白いね」で始まって、「こう使うとよい」というユーザの工夫が出始めて市民権を得てきたと思います。

RICOH360やRICOH THETAも、不動産業界での事例のように「360度で見られる良さ」がマーケットに理解されてきた。それ以外に「こういう使い方もできる」と、ユーザー自身が新しい価値を見出したのも浸透してきた要因ですね。

―事業の今後の伸びしろはどうですか?

大谷さん:これまで様々な新規事業に携わってきましたが、立ち上げてからいきなり伸びるものより、じわじわと浸透しているものが長く成長すると感じています。

わかりやすいサービスは、一気に伸びて一気に冷めちゃうことが多いですね。その点、RICOH360のサービスはじわじわと有用性が定着してきているので、今後も伸びてくると思います。

おわり

コンパクトデジタルカメラで有名なリコーですが、360度カメラRICOH THETAによる360度全天球画像・映像を使った法人向けサービスの成り立ちを中心にご紹介しました。

変化の激しい社会の流れや、ユーザーのニーズに応える形で誕生した新サービスブランド「RICOH360」。不動産や観光、自動車業界などですでにサービスが活用されています。

今回はRICOH360について大きくご紹介しましたが、次回はTHETA 360.bizやRICOH360 – Adといったサービスがどういった魅力を伝え、どのような世界を形成していくのかについて具体的に掘り下げていきます。